(※本レポートはファンによる記事であり、公式情報ではありません。あらかじめご了承ください。こちらの内容の転載・画像の転載はお控え下さい)
2017年11月5日、東京・新宿のカフェスペース「ネイキッドロフト」でBLOOD+&BLOOD#の非公式ファンミーティングの開催レポートです。
「ディーヴァのために……」と中田譲治さん風の乾杯で始まった「BLOODY memory ~11年目もナンクルナイサ!~」は、BLOOD+とBLOOD#のファンによる非公式ファンイベント。会場には「近くのドトールに偶然居たので駆け付けた」という“作品の裏の裏まで知り尽した小説・脚本家”さんも登場し、ファンから暖かい拍手で迎えられました。
当日提供されたオリジナルドリンク(真央のオレンジジュースとシャトー・デュエル)
●第一部
○「BLOOD+ 10周年ファンミーティング」
第一部ではまず2016年9月10日に都内で行われた公式イベント「BLOOD+ 10周年ファンミーティング」がなぜ開催されたのかについてが語られました。2016年はBLOOD+の10周年イヤーということもあり、「何かやりたいという気持ちが強かった」という脚本家さん。朗読劇などで活躍する作家・藤沢文翁さんからも「BLOODシリーズで朗読劇をやりたい」というお話が出ていたことから朗読劇の上演が決まり、「告知をやるのならファンミーティングという形で」とわがままを通したとのこと。イベントの準備に関しては脚本家さんがほとんど1人で全て行ったというエピソードが語られ、「ただファンにありがとうを言いたかった」と当時を振り返りました。
○「朗読劇BLOOD+ ~彼女が眠る間に~」
「BLOOD#」が未来のお話ということもあり、過去編を描きたいというテーマがあったという朗読劇。2016年7月に企画が持ち上がった後、人気声優たちが一堂に集った背景などが語られる中、注目を集めたのはやはり劇場で流れた“小夜の声”について。 ハジ役の小西克幸さんから「どうしても小夜を出してほしい。声だけでも良いから」という強い要望があったことから収録されたという“小夜の声”には、心を動かされたファンもきっと多いはずです。
会場で披露されたミニキャラ集
2006年9月23日に放映された最終話の収録時、「10年経ったら芝居も変わっているかもしれない。10年後、また仕事しような」と別れた小夜役の喜多村英梨さんとの再会した際の心境を語った脚本家さんは、呼び込みのあいさつ(「本日はご来場ありがとうございます」というあいさつ)が当初、喜多村さんの声で収録する予定ではなかったというエピソードを披露。「あのあいさつで完成だなと思った。あれはズルいよね」と語り、会場のファンは熱心に聞き入っていました。
○「BLOOD#」
2016年、一番最初に描いたという「BLOOD#」を示唆するイラストについては、Twitterへ投稿した1月1日の時点では「+と+を重ねたら#になるな」ということや「双子のお話なら青薔薇にしよう」ということぐらいしか決まっていなかったとのこと。書き上げた作品を朗読劇の会場で先行販売したことや、サイン会を開いたことなどでファンと直接触れ合う機会があったことも嬉しかったようです。
キャラクターデザインについては、「BLOOD+」のキャラクターデザインを務めたイラストレーター・漫画家の箸井地図先生に引き続きお任せしたとのこと。「響がメガネをかけている」という設定について、「メガネは人の表情を隠すもの。仮面のような意味合いでかけさせている」など、細かい部分でのオーダーはあったようですが、双子の制服など、衣装に関しても全て箸井先生に一任したとのことでした。
唯一大きく変更があったのはデヴィッドことアダム。当初はあどけない表情の少年がデザインされていましたが、小説のお話が進むにつれてどんどん大人びたイメージになったため、箸井先生とも相談の上で現在の姿になったとのこと。もともとのデヴィッドのデザインを改めて見た脚本家さんは「何事もなく育ったらこうなったんだろうな」と笑顔を見せました。
また「響と奏については双子は根本は似ているし、育った来た環境も同じだけれどもどこかに絶対に分岐点はある。内側に向かう子と外側に向かう子というイメージ」とキャラクターの内面性についてもトーク。人間とは違い、二人とも繭から誕生するという経緯を踏まえたうえで「どちらが姉でどちらが妹っていう明確な違いはないと思う。どっちがどっちでも良いと思っている」とのこと。
そしてファンの間で物議をかもしていた6代目ジョエルの生死に関しては、「40代後半で亡くなっていると考えている」と脚本家さん。先の戦いでの脊髄損傷をきっかけに体調がすぐれなかった6代目は早い段階で次の代を指名。ところが最終的にはリトルに命を奪われることとなったのではないかとの見解が示されました。6代目の死に際について脚本家さんは「もし描くとしたら『君が死神か。少し早いお迎えだね』というような感じで、そんなにシリアスではないんじゃないか」と、散り際まで6代目らしさをのぞかせました。
またデヴィッド(アダム)については母親のジュリアは自身の研究に没頭しており、PCに向き合いながらデヴィッドをあやしていたり、脚で揺りかごを揺らしつつも目線はPC画面に向いているといった雰囲気で育ったのでは、と茶目っ気を交えてトーク。シリーズの特徴として“男性が子どもを育てる話が多い”ということから、デヴィッドの面倒を見ていたのは実質的にはルイスなのではないかというお話も飛び出しました。
●第二部
○ファンからの質問コーナー
第一部終了後の休憩中にもレアな資料が投影されるなど、目が離せない状態が続きながら第二部がスタート。ここではファンから寄せられた質問に脚本家さんが答えるコーナーが催されました。
(※質疑応答の内容については非公式な見解であり、公式的な内容とは異なります。ご注意ください。)
Q.ニュータイプの2006年5月号のBLOOD+設定資料集にルルゥは「研究所時代はイレーヌとペアを組んでいた」という記述がある。アニメではシフのペア設定について触れられていないので詳細を知りたい。
A.シフは19話から出そうと後付けで考えられたキャラクターで、“動きのある敵を作ろう”と考えた。キルべドにいた際には各自個別の牢屋に入れられていたので明確にペアという感覚はないだろうとは思う。キャラを作っていくうえで“ペア感”のようなものは出てきたかもしれないけれども、シフ自体はグループで動くというより本来は個別で活動するというイメージ。ただし(イレーヌとルルゥは)女性同士ということもあり、親しかったのかもしれない。
ちなみにシフの中でいうとカルマンはリーダーシップを取れるタイプ。一方、モーゼスは誰とも目を合わせないような結構ヤバいヤツ。「(自分の言葉ではなく人間が言う)『希望』を信じたい」と言ったり一番儚いヤツだなぁという印象。
Q.「BLOOD#」にもシフが出てきたが、今回はコープスコーズという名称ではなくなっていた。
A.米軍が作ったのがコープスコーズ。今回は米軍がらみの話にしたくなかったので、赤い盾(リトルソロモン・コリンズ)が動かしているものという意味でシフを登場させている。
Q.コープスコーズはもう世の中にはいないということで良いのか。
A.アメリカではもう終わっている計画。15年の間に廃れているだろう。
Q.アニメ最終回後、次に小夜が目覚めるのはやはり30年後なのか。またディーヴァ亡きあとも30年の眠りの周期の法則は変わらないのか。
A.双子の属性というものがあるので、片方に何かが起これば多少のズレは起きるのではないか。これまでに女王(女王ではない子)が生き残った例があまりないので、小夜の睡眠サイクルについては謎が多い。個人的には小夜を「安らかに眠らせてあげたい」という気持ちがある。「BLOOD#」で少しだけ目覚めた小夜に対してカイが言っていたように、「まだ寝てて良いんだぜ」という言葉をかけてあげたい。
Q.シュヴァリエの体温が低い、というのがファンの間で定説になっている。
A.設定として細かく考えたことはあまりないが、総合的なイメージとして死人みたいな感じの温度ではないかと思う。中にはソロモンなど多少低血圧気味な感じの者もいるだろうし、アンシェルなどはすごく体温が高そう(39℃ぐらいありそうな気がする)な者もいるかもしれない。カールに至っては42℃を超えてるかもしれない、タンパク質を分解するぐらいの勢いがありそう(笑)。
Q.シュヴァリエが病気になるというようなことはあるのか。
A.ソロモンは医者なのでそのあたりはきちんとケアしているとは思うが、病に侵される者もいるのではないか。
Q.ドイツ篇をやる予定はないのか。
A.自分が望んでいる形でできるのであればやりたいという気持ちはある。小説などが一番動きやすいのではないかと思う。クラウドファンディングでという声もあるけれども、やるのなら出版社から出した方が良いと考えているので、版権元などに許諾を取ったうえで出版社を探すというところから始めないといけない。ただドイツ篇をやるとすると、ヒトラー周りの話を触ることになり、「BLOOD+」から離れていってしまいそうなので、要検討。
Q.小夜が起きた後の話(30年後)の構想は既にあるのか。
A.今後新しい展開をやるなら、どんどん過去にさかのぼった話を展開することになるだろう。
Q.BLOOD+の小説版で双子の姉妹が入れ替わっているのはなぜ。
A.理由は特にない。小説版の池端亮さんに双子の名前だけ伝えて全てお任せしたのでそうなっているだけ。本編の最終話は自分なりにきれいに着地したなというのがあり、双子の名前を考えてあげる必要がなかった(続編の構想がなかった)というのが大きい。
Q,最終話で元ちとせさんの「語り継ぐこと」を使ったのはなぜ。
A.最終話は「元ちとせさんを使いたい」と自分から強く要望したから。絵も箸井さんがちゃんと描いてくれて良かった。
Q,そもそもなぜ「BLOOD+」の監督・シリーズ構成を担当することになったのか。
A.「BLOOD」や「小夜」を一番よく知っていて、オリジナルタイトルということもあり、声がかかった。絵のことについては作画監督の石井明治さんにほとんど全て頼って、後半になると小谷杏子さんが入ってくれたので小谷さんにも色々とお願いしていた。とにかく分からないことが多くて全部聞きながらの作業。銃を1つ渡されて「これで生き残れ」って言われているような感覚だったが、「50話を何とか終わらせなくてはならない」という思いがあったので、必死だった。
Q,小夜とディーヴァ以外のキャラクターの誕生日は決まっているのか。
A.小夜とディーヴァも夏生まれということぐらいしか決まっていないので、他のキャラクターの誕生日というのも明確にはない。
Q,最終話時点でジュリアの子どもの性別は決まっていたか。また名前が決まったのはいつか。
A.最終回時点で性別は決めていなかった。名前が決まったのは「BLOOD#」に関連してのこと。
Q,響と奏は小夜やハジに対してどんな感情を抱いているのか。
A.響も奏も幸いなことに育ての親(カイ)が良かったのか“憎悪”という感情を持っていない。“ナンクルナイサ”の精神があり、怒りはあっても憎しみの感情は持ち合わせていないんじゃないかと思う。
Q,翼手は進化する生き物なのか。
A.環境に適応していくことができるいうことを“進化”とするのであれば、進化ではなく擬態や適応することはできる。
Q,翼手は生殖能力が限りなく低いというお話があったが、自分のシュヴァリエとの間にも子供を設けることはできるのか。
A.限りなく低いけれどもできるのではないか。ただ自分のシュヴァリエとの確率と相手のシュヴァリエとの確率ということでいえば、相手のシュヴァリエと子を成せる可能性の方が限りなく高い。翼手はもともとは人間がベースになっているので、人間との間にも子は成せる可能性もゼロではない。ただし生まれてきたものが“人間”になるかどうかというとまた定義は違ってくるだろう。
Q,「BLOOD+」「BLOOD#」のLINEスタンプは出ないのか。
A.版権元の許諾を取ったうえで、新たに絵を描く必要がある。経営チームなどと相談になるが、なかなか難しそう。
Q.キャラクターの衣装替えが多いのはなぜ。
A.今すごく有名な人になってしまったけれども、当時設定補佐だった飯塚晴子さんが頑張って考えてくれた。あとは設定制作の後藤みどりさんが資料を集めてくれて、過去編のハジのフリルシャツが決まったりもした。小夜とソロモンのダンスシーンでのドレスは松本淳さんが考えてくれたのを強く覚えている。(松本さんは)小夜をかわいくするということにとても思い入れがあったのだと思う。
Q.翼手のデザインをしたのは誰。
A.ゴリラっぽいのは塩谷直義さんのデザイン。今サイコパスとかやっている人で「BLOOD+」では3期のオープニングもやってくれた人。
Q.SAYAはD因子なのか。
A.D因子の定義は非常に複雑。D因子自体は翼手の根本なので、D因子を持っているというところは間違っていない。ただ色々な血が混ざっているのでD因子自体にもいろいろなフェーズがあると思う。翼手は古からいる生物であるので、紐解くとすればかなり遡らなくてはいけない。
Q.完全受注生産でも構わないので、設定資料集を出してもらえないか。
A.今年Production I.Gが30周年なので、その流れに乗ってなんとかできないかなと思うがどうなることやら。LINEスタンプよりは資料集の方が可能性は高いかもしれない。可能性を探ってみようと思う。
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またこの他にも「酒とたばこと男と女」「白雪の約束」といったサブタイトルが仮で付けられていたエピソードがあるというお話や、ファン垂涎の資料も多数公開されました。
今後について脚本家さんは「響とデヴィッドが動物園の前に立っていて、過去を紐解いていくという話はあるかもしれない。その際の語り部は“オネエなあの人”になるのだろうか」「シャープは二つの話が同時に進行しないとシャープとして成立しないので、過去と同時に未来も描くことになる」と語り、続編への含みを持たせました。さらに終盤には出演者から寄せられたコメントも読み上げられるサプライズや脚本家さんのサイン会も開催され、多くのファンが笑顔を見せていました。
大盛況で終幕となった本イベント。「みなさんの協力があっての『BLOOD+』。続編を書きたいという気持ちもある。資料集についてもタイミングを見て検討したい」と脚本家さん。ファンイベントについては「ファンが自発的にやってくれるものという形であれば今後も開催できるかもしれない」とのことなので、また皆さんと集まれる機会が作れると嬉しいですね。
コミケで頒布された貴重な缶バッチ
(Kikka)